ヤクルト(ガゼイ菌シロタ株)の
免疫賦活効果の臨床経験

十束英志

おススメ健康食品としてヤクルトを取り上げます。「えっ!?、ヤクルト?」って思われるかも知れませんが神秘の力が備わっているのです。

症例:46歳男性 胃癌、多発性肝転移

市立秋田総合病院にいた平成6-7年頃に経験した、46歳男性の胃癌、多発性肝転移症例を提示します(図1)。大腸癌と異なり胃癌の肝転移は極めて予後不良であり、自験例での平均生存期間は約6ヶ月でありました。もちろん肝転移に対して切除の適応はありません。
本症に対し胃全摘術、2群リンパ節郭清(切除)を行い、ターゲットを肝転移のみに絞りました。術後化学療法として当時としては最先端の「メソトレキセート(MTX)-5フルオロウラシル(5FU)交代療法」を行いました。同時に、ヤクルトの飲用を勧めてみました。秋田にいる典型的な日本酒好きな男性ですが、私の提案に喜んで応じてくれました。

症例:46歳男性 胃癌、多発性肝転移

肝転移が消滅!

3ヶ月後、なんと全ての肝転移巣が消滅しておりました(図2)。MTX-5FU交代療法は、上手に使えば副作用が少なく長期に使用できる効果的な治療法に思われ、夢のような出来事に全国に飛び回って学会発表させていただきました。

肝転移が消滅!

肝転移消滅はヤクルトの効果?

このMTX-5FU交代療法は平成20年くらいまでは癌研有明などでやられていたようですが、今この治療法を選択することはありません。効果が無いことが確認されたと言えます。と言うことは、あの症例における肝転移消滅は幻だったのだろうか?、何かの間違いか?、と思われました。もしかしたら、ヤクルトが有効だったのかも知れないと考えております。そう言えば、あの患者さんはかなりの量のヤクルトを飲用してくれておりました。

膀胱癌が治ったヤクルトおばさん

当初、ヤクルトをお勧めしたり、そのヤクルトの有効性を考えるのには根拠があります。当時より10年以上前、手術後、余命半年とされた進行膀胱癌のヤクルトおばさんが、日常のヤクルト飲用で4年以上無再発生存した症例が報告され、ヤクルトに含有する乳酸菌(ガゼイ菌シロタ株)を用いた臨床研究で膀胱癌の再発率を有意に低下させることも証明されました(図3;豊島病院泌尿器科 浅野美智雄 博士ら)。

膀胱癌が治ったヤクルトおばさん

ガゼイ菌シロタ株の免疫増強効果

ガゼイ菌シロタ株は動物実験においてもナチュラルキラー細胞の活性を増強させることが証明されております(図4)。T細胞刺激物質を負荷した際にシロタ株を投与した群ではT細胞の増殖が促進されましたし、シロタ株投与は炎症性サイトカインであるインターロイキン2産生を促進したとされます。

ガゼイ菌シロタ株の免疫増強効果

まとめ

ヤクルト飲用によるかも知れないと思われる胃癌肝転移の消滅を経験しました。ヤクルトが含有するガゼイ菌シロタ株は、進行膀胱癌の再発予防効果があり、動物実験ではナチュラルキラー細胞の活性増強から免疫賦活効果があると証明されております。
ガゼイ菌シロタ株が含まれるヤクルトは免疫力を高める効果があり、これは癌の治療/予防、および感染症に対しても有効である可能性が考えられます。

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