市立秋田総合病院にいた平成6-7年頃に経験した、46歳男性の胃癌、多発性肝転移症例を提示します(図1)。大腸癌と異なり胃癌の肝転移は極めて予後不良であり、自験例での平均生存期間は約6ヶ月でありました。もちろん肝転移に対して切除の適応はありません。
本症に対し胃全摘術、2群リンパ節郭清(切除)を行い、ターゲットを肝転移のみに絞りました。術後化学療法として当時としては最先端の「メソトレキセート(MTX)-5フルオロウラシル(5FU)交代療法」を行いました。同時に、ヤクルトの飲用を勧めてみました。秋田にいる典型的な日本酒好きな男性ですが、私の提案に喜んで応じてくれました。